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「コンプライアンス」という単語が一般的になって来ました。
狭義(狭い意味)では「法律に違反しない事」です。
違反しないためには,知らないと守りようもありません。ここでは,意外と知られていない法律条文などを御紹介します。
また広義(広い意味)では,「法令に違反していると信用を失う,せっかく今まで築き上げた信用力(ブランドイメージ)を損なう」ことを指します。
社会人なのですから,「知らなかった」では会社・お客様・相手方,警察・弁護士も許してはくれませんね。
フリーランス(個人事業主)として働く以上,様々な法律に拘束されていることを知らなければなりませんし,守らなくてはいけません。
さらには勤務先の会社にあっては,「法令を遵守していない」もしくは「法令に明確に違反しているとは言えないものの,社会規範に照らせば好ましくない状況である。違法ギリギリである」(いわゆるブラックと表現されるものなど)ことがあり得ることも想定しなくてはいけません。
ここでは,個人事業主のインストラクター・パーソナルトレーナーの皆さんが,コンプライアンスによって自分の身を守る一助となるべく,情報をご提供致します。
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コンプライアンスを解説するサイトのひとつ「内部統制入門Navi」
http://www.internalcontrol-navi.com/request/compliance/outline.html
では,次の図が示されています。
(A)業務委託契約は民法に規定される
「業務委託契約はいつでも解除できる」ことと「遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない」と民法に定められています。
(さすがに実例が無いと思いますが→「レッスン報告をきちんと書かないことで業務委託契約が打ち切られる」ことも有り得る訳です)
(A)-1【業務委託契約はいつでも解除できる】
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これを実際の例で見てみると,次の二つが取り上げられます。
[1]業務委託者の我々から「やめます」と言う時
急に「やめます」と申し出れば店舗(契約している会社)に迷惑が掛かります。(そもそもお客様に失礼ですが)
「いつでも解除できる」と民法には書かれていても,実際には急に申し出ることにより混乱が生じたり,そもそも契約書に「一か月前までに申し出ること」と規定されている場合が多いので注意しなければなりません。急に止めたことによって生じた損害は賠償責任が問われるんです。
[2]急に「来月から講座を無くします」と言われる可能性もある
おそらくスタジオスケジュールは数ヶ月前より計画されますから,直前に急に講座が消滅し契約が解消・減少することは少ないと思いますが,何が起こるかも分かりません。
またそもそも参加者の多いクラスなら存続するに当たり前ですから,参加者が低迷している場合に消滅の危機が来ることは予想できるとも言えます。日頃より店舗の担当社員などと情報交換が必要でしょう。
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民法第651 委任は,各当事者がいつでもその解除をすることができる。
当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは,その当事者の一方は,相手方の損害を賠償しなければならない。ただし,やむを得ない事由があったときは,この限りでない。
註1,最高裁昭和56年判決では,委任者の任意解除権を認め,それによる受任者が受けた不利益は賠償することで両者の利益を図るべきであることが示された。
註2,上記の判例解釈や,現在行われている民法改正論議などの詳細は以下のページにて参照されたい。
(中京大学法科大学院教授)石堂典秀氏の「委任契約における「受任者の利益」概念について」http://www.chukyo-u.ac.jp/educate/law-school/chukyolawyer/data/vol018/02_Ishido.pdf
(A)-2【進捗報告の義務】
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業務委託契約をしているインストラクター・パーソナルトレーナーは,状況を報告する義務があると法律に明記されているんです。
(私,田中はこんな感じで書いています。)
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民法第645 受任者は,委任者の請求があるときは,いつでも委任事務の処理の状況を報告し,委任が終了した後は,遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
レッスン報告書などを記入すると思いますが,いい加減な記入が少なくありません。
{レッスン内容「元気よく,シンプルに」,所感「good!!」}
なんて書く方もいます。というか,結構います。
私がスケジュール担当者や店長だったら,こんな「真剣さが感じられない人」は雇いません。(苦笑) 雇い主に対する絶好のアピールの場なのに。。
(B)法律が強化された著作権について
近年に法律が強化されて来ている著作権について解説します。レッスン中に音楽を流すことが該当しますから。
(B)-1【レッスン中に音楽を流す「演奏権」の注意】
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「スタジオレッスンで音楽を流す」行為が「演奏権」です。
(「演奏権」とは「公衆に聞かせるための演奏に関わる権利」,演奏は生演奏なのか・CDなど記録媒体による演奏なのかは区別されません。)
平成11年著作権法改正前は,「名曲喫茶・ジャズ喫茶・ダンスホールなどを除く他の店では,レコードの再生演奏については,たとえ営利目的であっても著作者の許諾を必要としない」という例外が設けられていた(附則14条)のですが,現在はその規定が廃止されたので,全ての業種において著作権者の承諾が必要です。
そして「著作権者の承諾」ということについて仲介する(料金を徴収する)「日本著作権協会(JASRAC)」から注意が喚起されているのが現状です。
日本フィットネス産業協会(FIA)に加盟する「大手スポーツクラブ」であれば,「日本著作権協会(JASRAC)」との申し合わせにより,「施設が著作物使用料を払い,インストラクター個人が支払う必要は無い」ことになっています。
しかし小規模/個人スタジオであれば,施設が支払っていない場合もあり得ます。
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著作権法第38 公表された著作物は,営利を目的とせず,かつ,聴衆又は観衆から料金を受けない場合には,公に上演し,演奏し,上映し,又は口述することができる。ただし,当該上演,演奏,上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は,この限りでない。
(逆に言えば,営利を目的としていたり,料金を徴収していたりすれば,著作物使用料を払わなければならないことになる。)
註1,(中小企業庁によるFAQ http://www.chusho.meti.go.jp/faq/jirei/jirei013.html)
質問:洋品小売店を経営。店内イメージアップのため市販CD音楽をお店のラジカセで流していた。著作権協会から著作権使用料の支払いを求められました。支払わなければいけないのでしょうか。
回答:1)BGMとしてレコードやCDなどを流す場合,これまでは著作権者の許諾を受ける必要がありませんでした。著作権法の附則14条にこのことが規定されていましたが,平成12年1月に施行された改正著作権法でこの条項が廃止され,生演奏であるか,レコード演奏(レコードやCDを流す)であるかを問わず著作権者の許諾が必要になりました。
2)有線音楽放送,BGM用貸出録音物の貸出等を所定の音源提供事業者から受ける場合は,配信を行っている業者がお店などの施設に代わって使用料を払う場合があるのでその時は,各お店が個別にJASRACと契約する必要はありません。
3)BGM使用料金は面積や宿泊定員により異なりますが,一般店舗の場合500m2まで年間使用料6,000円,1000m2まで10,000円(消費税別)。
註2,(裁判判例)ダンススタジオでレッスンの際に音楽を流す場合に著作物使用料を払わなければいけないか?
判決→(名古屋高等裁判所判決/平成16年3月4日)営利目的の場合は払わなければならない。ダンスのレッスンでは受講料を徴収しているので営利目的であり,またダンスと音楽は密接不可分であるから,入会金や受講料は音楽の演奏に対する対価とみることができるとの理由でした。
註3,BGMとして流すことについて,法律判断(及びその根拠)について,以下のページで詳述しています。
「(みずほ中央法律事務所)店舗のBGM×著作権|TV番組・音楽CD・DVD・有線放送・FM放送を流す」http://www.mc-law.jp/kigyohomu/16862/
(B)-2【複製(楽曲のコピーいわゆるダビング)の注意】
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一昔前は「楽曲の順番を入れ替えてCDを焼く(もしくはMDなどに録音する)」,もっと以前なら「カセットテープにダビングする」,最近では「コンピューターを使ってiPodなどにコピーする」ことがよく行われます。
個人が,自分で楽しむために購入した音楽(CDであってもダウンロードであっても)をコピーすること(私的複製)は,著作権法の特例で認められています。
ただしスタジオレッスンで音楽を流す行為は「私的複製」の範囲を超えます。仕事上で演奏する(業務上の利用),それにより対価報酬を得るため(営利目的と判断され),複製は禁止されてしまうのです。
インストラクターがスタジオレッスンで音楽を流すために複製する場合は,個別に「楽曲の権利者(著作権者。作詞者と作曲者)」と「原盤権を持っている人物(著作隣接権者)」に許諾を得ない限り違法ということになります。(JASRACで管理されている楽曲であればJASRACに,JRC管理楽曲ならJRCに,その他の団体が管理する楽曲ならその団体に許可を得る必要がある)
前述:「大手スポーツクラブ」であれば「日本著作権協会(JASRAC)」との申し合わせにより「施設が著作物使用料を払い,インストラクター個人が支払う必要は無い」ことになっていることを述べましたが,その場合でも,複製品の利用は認められていません。
従って,「コピーしたCDではなく,iPodなどでもなく,原盤を使わなければならない!!」ことになります。当然それは,原盤の劣化を招きますから度々買うことになりますね。
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(註)複製品の利用について,以下のページで詳述しています。
「iTunesに取り込んだ音楽を店内BGMとして流すのは著作権違反?」http://blog.livedoor.jp/katz_stlips/archives/52042307.html
(C)確定申告
フリーランス(個人事業主)にとって確定申告は避けられない行政手続きです。
(C)-1【確定申告しなければいけないの?】
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会社に勤務し「お給料」を貰っている方(給与所得の方)は,会社で所得税を「源泉徴収」するため,「年末調整」を受けていれば確定申告は不要です。給与から所得税が差し引かれて(天引き)給料を受け取るため,自動的に所得税は支払われたことになります。多くのサラリーマンは,確定申告をしなくて良い訳です。
しかし,
*給与でない所得がある方(業務委託契約による報酬がある,成果歩合報酬がある,または不動産収入がある,など)
*給与の他に20万円以上の所得がある方(兼業の方)
*給与年収が2000万円を超える方
・・・などは確定申告しなければなりません。
インストラクター・パーソナルトレーナーでは,
【1】フリーランス(業務委託契約)で働いている
会社もしくはその店舗と業務委託契約を結んでいる方,『事業所得』を得ている方は,
→【確定申告が必要】
フリーランスのインストラクターやパーソナルトレーナーは「個人事業主」です。自分が社員であり・社長です,誰かが計算・納税してくれる訳ではありません。ですから「自分で」計算し,所得税を納めなければなりません,確定申告が必要です。
【2】会社に雇用(労働契約)されて働いている
所属する会社の業務の一つとしてレッスンインストラクションやパーソナルトレーニング指導をしている方,収入が『給与所得』の方は,
かつ 年末調整をした→【確定申告は不要】
年末調整が済んでいない→【確定申告が必要】
【3】兼業している方
「スポーツクラブでスタッフアルバイトしながら,他社でフリーランスイントラ・パーソナルトレーナーをしている方」や「会社に勤めていて,週末だけイントラしている方」などは,『給与所得』と『事業所得』の両方がある方は,
→【確定申告が必要】
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どこかのサイト(お悩み相談系)で「収入が(年間で)38万円以下なら確定申告しなくて良い」などと書かれていましたが,誤解しないようにしましょう。
*『事業所得』を得ている方(上記の【1】)が,それが「専業である」場合は,「(年間で)38万円以下であれば,所得税の確定申告は不要」です。
(基礎控除が38万円なので,売上から38万円を引いた金額が所得税の計算に使われるため,38万円以下であれば0になってしまうため。→詳細は別ページにて解説)
しかしながら,
*『事業所得』以外に『給与所得』も得ている人(つまり兼業の人)(上記の【3】)で,「事業所得が(年間で)20万円以上であれば,所得税の確定申告は 必要!!」です。
(詳しくはこちらで確認しましょう)
(C)-2【脱税の罰則:確定申告をしない(所得税を支払わない)場合には】
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確定申告は「1年間の所得を申告する手続き」ですが,提出期限があります。3月15日までに提出できなかった場合には(罰則として)ペナルティが課されます。
確定申告をしない場合,税務署が調査をすることになる(調査に来られたり,査察に入られる)訳ですが,場合により管轄税務署長が所得額を確定し,納めるべき税額を決定してしまいます。
(1)「無申告加算税」が課されます
税務調査後に(確定申告期限後に)申告した場合でも,税務署長から通知が来た場合でも,納めるべき本来の税金に加えて,無申告加算税も支払わなければなりません。
「無申告加算税」は,納めた税金の金額が50万円までの部分に対して15%,50万円以上の分に対して20%を追徴される計算をされます。
(例)納める税金が100万円の場合は,50万円に対して100万円の15%である15万円,さらに残りの50万円に対して100万円の20%である20万円,合計で35万円も課されてしまいます。総額で135万円ですね,
ちなみに,正当な理由がある場合など5%~0%に減じられる例もあります(期限後2週間以内に自主的に正しく申告した場合など)から,すみやかに申告しましょう。
(2)「延滞税」が課されます
定められた期限日(納付期限)の翌日から納付した日までの日数について,税金額の利息分が更に加算される訳です。
税率は毎年変わりますが,2ヶ月が経過するまでは,「特例基準割合(前年の銀行における新規の短期貸出約定平均金利に年1%分を加算して算出)」か「1%」のどちらか低い率が採用されます。
2ヶ月が経過した後は,「特例基準割合」か「7.3%」のどちらか低い率が採用されます。
他にも「過少申告加算税」や「重加算税」といった行政処分が課される場合があります。(詳細は後述)
ところが,そうした「行政処分」だけでなく,「刑事罰」も課されます。
(3)「ほ脱の罰則」が課されます
悪質な脱税に対して取り締まりが強化されました。近年の脱税手口の巧妙化に対応する形で,罰則が強化されていますのでくれぐれも税金は正しく納めましょう。
無申告,かつ故意に納税を免れる意思があると認められた場合には,「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(情状酌量により脱税額に減じられる場合有り),または,その両方」が科されてしまいます。故意に納税を免れる意思がなくても,「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられることもあると規定されています。
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国税の反則規定
一覧表にまとめると,以下になります。
種類 根拠法 状況 税率 無申告加算税 国税
通則法
66条税務調査を
受ける前に
自主的に
期限後申告した5% 正当な理由があると
認められた場合15%
20%納税額のうち,
50万円までに掛かるのは15%,
それ以上の部分については20%過少申告加算税 国税
通則法
65条税務調査を
受ける前に
自主的に
修正申告した0% 正当な理由があると
認められた場合期限内申告で
修正申告や更正をした10%
15%納税額のうち,
50万円までに掛かるのは10%,
それ以上の部分については15%重加算税 国税
通則法
68条隠蔽や仮装
している事実
があった場合35% 期限内に申告していた場合 40% 期限後に申告した場合 延滞税 国税
通則法
60条法定期限日
までに
完納しない場合特殊な計算
故意の申告書不提出による「ほ脱犯」に対する罰則の創設
「期限内に申告しなかった場合」は,従来は「故意の申告書不提出犯」として「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」であったのが,
法改正により(前述の通り)「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(情状酌量により脱税額に減じられる場合有り),または,その両方」と重罪になりました。
(所得税法238条3項および4項,法人税法159条3項および4項,相続税法68条3項および4項ほか)
犯罪の種別 罰則 不正無申告
脱税犯10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金
(情状酌量により脱税額に減じられる場合有り),
または,その両方従来通り 故意の申告書不提出
によるほ脱犯5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金
(情状酌量により脱税額に減じられる場合有り),
または,その両方これが
新設故意の
申告書不提出犯1年以下の懲役または50万円以下の罰金 従来通り
そもそも申告しない収入はバレないのか?
「源泉徴収票」も「支払調書」も,会社から税務署に提出されていますので,マイナンバーで個人データを関連付けることが出来る今後は,瞬時に会社から提出されたデータと個人から申告されたデータを比較することが可能になります。
源泉徴収票は2通作成され,1通は税務署に,1通は給与支払者に発行されます。(※1)
支払調書は1通作成され,税務署に提出されますが,商慣習として同じ物もう1通が報酬支払者に発行されたりしていました。(必ず発行されるとは限らない)
(※1)所得税法施行規則第九十三条
居住者に対し国内において法第二百二十六条第一項(給与等の源泉徴収票)に規定する給与等(以下この条において「給与等」という。)の支払をする者は,同項の規定により,その給与等の支払を受ける者の各人別に,次に掲げる事項を記載した源泉徴収票二通を作成し,一通をその給与等に係る所得税の法第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地の所轄税務署長に提出し,他の一通をその給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。
ただし「源泉徴収票は:年収500万円未満では提出しなくても良い」「支払調書は:報酬が年中5万円未満では提出しなくても良い」なども規定されているので,脱税の糸口が有り得ると一見思えそうですが,
それとは別に市町村に「給与支払報告書」を提出することが義務付けられており(それに基づいて住民税(すなわち都道府県民税と市町村民税)が計算されます),結局はバレることになります。
フリーランスのインストラクター・パーソナルトレーナーは,ほぼ還付金があるから確定申告をした方が得
「経費」を「売上」から差し引いて「課税所得」を申告することで,年収がよほど多く無い限りは課税率が10%を上回ることは少ないと思いますし,
あらかじめ10%を取られてしまった税金(源泉所得税)を取り戻すことになる場合が多いですから,ぜひ申告はしましょう。
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「確定申告/青色申告」については,「確定申告/青色申告」解説ページもご参照下さい。
(D)印紙税の基礎知識
「印紙税」と聞くとあまりイメージが湧かなかったりしますが,「収入印紙」って聞くと「見たことはある!」と思いませんか? その印紙(税)について理解を深めます。
(D)-1【領収書を発行する時】
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サービス(または物品の販売)で現金を受け取った際に発行する「領収書」において,額面が5万円以上の場合は200円(5万円以上100万円未満の場合)の収入印紙を貼付し,割印しなければなりません。
1回で5万円の仕事はあまりありませんが,パーソナルトレーナーで1ヶ月分をまとめて貰うことがあれば該当します。
あるいはインストラクターでも代行したレッスンフィーを他のイントラから貰った場合などでは5万円を超える場合もあるでしょう。
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▽国税庁ホームページ:『金銭又は有価証券の受取書,領収書』
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(留意点)
(1)収入印紙を貼付しなかったからといって,その領収書自体が無効になる訳ではありません。ただし脱税なのでお気を付け下さい。
(2)消費税を含むと5万円以上だが消費税を含まない金額で5万円未満の場合
→収入印紙は不要です
「税抜46,297~49,999円/税込50,000~53,999円」は『うち消費税399円』などと消費税額が書かれている場合に「5万円未満」と見なされます。収入印紙200円を貼らずに済みます。
ただし,ただ「税込53,500円」と書かれていたり,「消費税を含む」としか書かれていない場合には,上のようにはならないのでご注意ください。
(ちなみに税込金額[A]から税抜金額[B]を計算する場合は「B=A÷1.08」(消費税8%)です。)
(3)営業ではない場合は非課税と規定されています。
前述=国税庁ホームページでは:営業に関しない金銭又は有価証券の受取書は,非課税となっています。
(ここでいう営業とは,一般通念による営業をいい,おおむね営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことをいいます。したがって,株式会社などの営利法人や個人である商人の行為は営業になりますが,公益法人や商人以外の個人の行為は営業には当たりません。)
我々インストラクター・パーソナルトレーナーの仕事は「営利」行為(ビジネス)なので勿論収入印紙を貼らなければいけませんが,個人的にお金を遣り取りした時(借用書や慰謝料など)には収入印紙は要らないことになります。
(4)クレジットカード払いの時の領収書に収入印紙を貼るかどうか
→収入印紙は不要です
クレジットカードで支払った場合,便宜的に領収書が発行されたりしますが,本来はまだ金銭の授受が行われていません。
(買った人はまだお金を支払っていない。後日クレジットカード会社から請求されて,支払った代金が後日に売ったお店に支払われる。信用取引という仕組みですね) そのため,規定「課税文書」には当たらないということです。クレジットカードで支払った時に貰った領収書は,印紙税における「金銭授受の文書」ではない,ということです。したがって非課税です。
買物をした場合,通常はレシート=明細だけを貰えますが,金銭授受の場合は「領収証を発行する義務」がある(商法)ため,現金で支払った場合は領収書を請求出来ます。ただしクレジットカードの場合は,厳密には領収証を法に基づいて請求することは出来ません。あくまで商慣習として便宜上に発行されているたけです。
(ただし,クレジットカードで何か物品を買った場合に貰えるレシートや領収書が,「経費で落とす」場合の重要な書類ですので,必ず保管して下さい。逆に言うと,クレジットカード明細から何でも遡って経費にすることは避けるべきです。また,もちろん両方を経費とした二重計上は厳禁です。)
(5)「5万円を超えるから2分割にする」方法はどうなのか
→収入印紙は不要です
印紙税を払うお店側から提案してはいけませんが,お客様が「20,000円の領収書と30,000円の領収書として2枚欲しい」と言われたら,言う通りにして構いませんし(それぞれ5万円未満ですから)収入印紙も不要です。
(あくまで,発行された書類が規定される文書に当たるかどうか,当たる場合にその文書の額面金額がいくらか,によって印紙税が発生するということです。)
(6)「実際に払った金額を下回る領収書を発行する」方法はどうなのか
「10万円払ったけど,領収書は4万円で御願い」とお客様から言われたら,4万円の領収書を作れば良いのです,収入印紙も要りません。それはそれで法的に問題はありません。ただし印紙税を払うお店側から提案してはいけません(強要罪になります)
ところが,(その場合のお客様は4万円を経費にするのかもしれませんが)印紙税を払うお店側が「じゃぁこちらの売上も4万円にしておこう」というのは脱税行為です。きちんと売上は10万円にしなければなりません。
(D)-2【契約書を交わす時】
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インストラクター・パーソナルトレーナーの多くは「業務委託契約」です。我々のこの「契約書」には収入印紙が必要なのでしょうか?
一般的なインストラクター・パーソナルトレーナー「業務委託契約」の場合は不要です。
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▽国税庁ホームページ:『継続的取引の基本となる契約書』
[平成27年4月1日現在法令等]
印紙税額一覧表の第7号文書の「継続的取引の基本となる契約書」とは,特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち次の文書をいい,税率は1通につき4,000円です。 ただし,その契約書に記載された契約期間が3ヶ月以内であり,かつ,更新の定めのないものは除かれます。 なお,継続的取引の基本となる契約書に該当しないものであっても,その記載されている内容によって,例えば,運送に関する契約書(第1号の4文書)や請負に関する契約書(第2号文書)に該当することがありますのでご注意ください。 (1) 売買取引基本契約書や貨物運送基本契約書,下請基本契約書などのように,営業者間において,売買,売買の委託,運送,運送取扱い又は請負に関する複数取引を継続的に行うため,その取引に共通する基本的な取引条件のうち,目的物の種類,取扱数量,単価,対価の支払方法,債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうち1以上の事項を定める契約書 (2) 代理店契約書などのように,両当事者(営業者に限りません。)間において,売買に関する業務,金融機関の業務,保険募集の業務又は株式の発行若しくは名義書換の事務を継続して委託するため,その委託する業務又は事務の範囲又は対価の支払方法を定める契約書 (3) その他,金融,証券・商品取引,保険に関する基本契約のうち,一定のもの (印紙税法別表一通則3イ,印紙税法印紙税法施行令26)
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判断するポイントは,
1「継続的取引(契約期間が記載され契約期間が3ヶ月以内であり,かつ更新に関する定めのないものを除く)」という点と,
2「契約が,売買,売買の委託,運送,運送取扱い,請負のいずれかに該当する」かどうかという点です。
まず契約期間が3ヶ月以内でかつ更新に関して定めていない(「双方から異議の無い限り自動継続する」というような規定)場合は,課税対象の文書から除かれる,ということです。
では「契約期間が3ヶ月を超える」場合や,あるいは「更新に関して定めている」場合はどうなるんだということになりますが,その場合は「契約が売買・売買の委託・運送・運送取扱い・請負」かどうかに着目です。
通常のインストラクター・パーソナルトレーナーであれば,レッスン・エクササイズ指導なので売買や運送とは無関係ですし,業務委託契約といっても「請負契約」ではなく「委任・準委任契約」である場合がほとんどです(別ページで違いを解説)
(プロ野球選手や映画俳優のように,結果を求められることが前提となっている業務委託契約は請負契約です。我々インストラクター・パーソナルトレーナーは,もちろん多くのお客様を受け持ち店舗・会社の収益を向上させる方向性で仕事をしますが,仕事自体は業務が委託されているだけです。その業務が遂行されれば報酬が貰えます。)
(M)ブラック企業を見分ける
これだけ「資格を持った同業者」が増えると,働かせてくれる会社もまた増えていく(自分自身で会社を立ち上げる方もいらっしゃるでしょう)ため,実に様々な会社が世の中に存在します。
いわゆるブラック会社から身を守るために,実際に有った(裁判判例などに示された)実態を御紹介します。
それは,我々個人事業主個人でさえも「法に明確に反してなければ何をやっても良い,なんて発想を持っていると社会的信用を失う」以て他山の石として勉強しましょう,ということでもあります。
法律に違反しないだけでなく,常識的な事,社会規範などから逸脱しない言動が求められているということです。
(企業の本来の理念,またコンプライアンスの原点には,『公正な活動で社会貢献をする,利益を社会に還元する』という概念があるのです。利益を追求する・自己実現に邁進するだけでは,成長は行き詰ってしまいます。)
(M)-1【会社員とフリーランスの違い】
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労働者を雇う企業からすると,労働者を正規従業員として雇うには,コストやリスクが掛かるため,「必要な時にだけ・必要なことを任せられる」→「業務委託(契約)が(コストやリスクが小さくて)便利」と考えるのですね。
正規従業員として雇うと,
*深夜時間帯(夜22時から翌朝6時まで)だと割増賃金を支払わなければならない
*正社員の4分の3以上勤務する場合は,社会保険料(健康保険や年金)の半額を会社が負担しなければならない
*週20時間以上だと雇用保険に加入し掛け金を会社が支払わなければならない
*原則として辞めさせられない
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個人事業主は「フリーランス」と呼ばれカッコイイ・イメージがあったり,自由に自分の個性を活かして活躍できるのですが,
「業務委託(契約)」の場合は「いつでも」契約を解除することができます(民法651-1)。契約解除の点では,業務委託(契約)は対等の契約であるといえますが,突然契約を打ち切られるリスクを覚悟しなければなりません。(前述)
(註)以下のページに興味深い指摘がありました。
「コンプライアンス違反を引き起こしやすい組織の特徴」http://www.nikkeibp.co.jp/article/hco/20100407/219901/?P=3
※チェックしてみましょう。
[ ]ワンマン経営・同族経営,もしくはトップダウン方式の組織である
[ ]体育会系の組織である
[ ]業界内の市場占有率が高く,競争相手がいない
[ ]会社のミッションが明らかになっていない(もしくは,浸透していない)
[ ]組織の価値観が共有されていない
[ ]組織のビジョンがない(もしくは,共有・浸透していない)
[ ]クライアントの利益や安全より,会社の利益を優先させる傾向が強い
[ ]不祥事を起こしたメンバーに対する処分が甘い
[ ]社内の一部のメンバーに権限が偏っている
[ ]経営陣が一般社員の意見を聞く場がない
[ ]上司・部下間の信頼関係がない
[ ]業務・プロジェクトの責任の所在がはっきりしていない
[ ]業務を遂行する上で,古くからの慣習や暗黙の了解となっていることがある
[ ]自社が提供する商品サービスの質や企画の適正判断を定期的に行う仕組みがない
[ ]自社が抱える課題やリスクを定期的に洗い出す機会がない
[ ]監査を内部機関のみで行っている
[ ]自社が重視すべき法令を把握していない
[ ]社内の問題を相談する窓口が設置されていない(もしくは,活用されていない)
[ ]情報が共有されていない
[ ]何よりも結果が重視される
(M)-2【偽装委託】
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業務委託契約にも関わらず,「何時から何時まで働く(時間の対価として報酬が支払われる)/リーダー・マネージャーの指示に従う(組織的な指揮監督下に置かれている)」業務をさせられている場合,その会社・経営者は労働基準監督署による行政指導の対象になります。
本来は従業員として働かせる場合は「労働雇用契約」しなければなりませんが,コストを抑え,リスクを避けるために「業務委託契約」している違法な会社(ブラック企業)なのです。(そういう所では働くのを止めましょう!、もっと大きな問題に直面しますよ。)
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◆厚生労働省東京労働局『あなたの使用者はだれですか? 偽装請負ってナニ?』(相談窓口のご案内)
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudousha_haken/001/005.html
◆中小企業庁所管『下請かけこみ寺』(中小企業の取引に関する様々な悩みに対応するため,無料相談窓口を全都道府県に設置しています。相談対応のほか,弁護士による紛争解決,講習会事業も行っています)
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/kakekomi.htm
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◆逆の例もあるようです!!
大手フィットネスクラブで,通常は「業務委託契約」で従事するインストラクター・パーソナルトレーナーを,ジム・プール・レセプションを担当するスタッフ従業員ではないにも関わらず,レッススンのみ・もしくはパーソナルトレーニングのみであるにも関わらず「労働雇用契約」する事例があるようです。(おそらく会社側の事情,株主に対する配慮などがあるのでしょう)
会社側も厚遇している訳ですからインストラクターにとっても有利な面が場合により有りますが,その勤務では「給与所得」を得ることになる為,(「事業所得」ではないため)経費を計上して課税所得額を減らすことはできません。(給与控除として65万円が引かれるだけ)
税理士に依頼していたにも関わらず,所轄税務署から行政指導を受けた契約インストラクターもいます(そんな特殊事情を税理士も把握しきれなかったのでしょう)ので,お気を付け下さい。
*業務委託契約→事業所得→事業をするにあたって掛かった費用を「経費」として「売上」から差し引いて税金計算ができる。
※詳しくは「青色申告のページ」を参照して下さい
*労働契約(雇用契約)→給与所得なので「経費は65万円」と自動的に定められる。経費を更に計上することは出来ません。
所得税の話であれば,「サービス業の経費率は50%(まで)とされている」(みなし仕入れ率の考え方)ので「130万円の売上があれば→経費65万円」,【130万円以上の年収であれば損】な契約方法である,とも言えます。
週20時間以上業務をしているのであれば雇用保険(失業給付の保険)がつく(はず)ですし,深夜時間帯のレッスンであれば1.25倍の割増給与になる(はず)なので,場合によっては年次有給休暇もある?,それらの【恩恵を受けていれば得】ではありますね。
ただし「業務委託契約」は契約外業務や嫌な仕事は断れますが,「労働雇用契約」は会社の命令に従わないといけません。契約書はどうなっているんでしょうね?
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◆雇用契約と委託契約を比較すると
※1【雇用保険の対象者】
法律が改正され,雇用保険の対象者は,
(1)31日以上の雇用見込みがあり,かつ,
(2)1週間の所定労働時間が20時間以上の者,です。
正社員はもちろん雇用保険の対象者であり,有期短時間雇用者(パート・アルバイト)のうち20時間以上勤務する者を対象としています。
平成22年4月1日より法律が改正され,以前は「(1)6ヶ月以上の雇用見込みがある,(2)同」であったのが,
基準が緩和されて多くの労働者が含まれるようになりました。
※2【雇用主の社会保険加入義務】
雇用主には,以下の条件に合う従業員について,社会保険に加入させる義務を負います。会社が費用の半額を負担します。
(1)おおむね2ヶ月以上継続して雇用の見込みがあり,かつ,
(2)1日の労働時間が正社員の4分の3以上,かつ(3)1ヶ月の勤務日数が正社員の4分の3以上 [(2)(3)を両方満たすこと],です。
後段を分かりやすく換言すると,
[正社員が1日8時間勤務,1ヶ月21日勤務(週5日×4.2週)]と仮定した時は,
(2)1日の労働時間が6時間以上,かつ(3)1ヶ月の勤務日数が15.75日以上],となるでしょう。
したがって,
*1日「6」時間×「週3日」勤務×4.2週として勤務日数は「12.6」日…時間は満たしているが,日数が満たされていない
*1日「6」時間×「週4日」勤務×4.2週として勤務日数は「16.8」日…満たされている
*1日「8」時間×「週3日」勤務×4.2週として勤務日数は「12.6」日…時間は満たしている,雇用保険の加入条件も満たすが,日数が満たされていない
*1日「8」時間×「週4日」勤務×4.2週として勤務日数は「16.8」日…満たされている
※単純に「週30時間以上」ではない!!ことにご注意ください。
※3【会社にとっての業務委託(請負契約)のデメリット】
(1)「外部業者」であるため,会社への帰属意識はあまり生まれない。委託条件によっては仕事を断られる可能性がある。
(2)業務委託契約や請負契約は,業務単位で依頼することになるため,(社員に対してのように)適宜さまざまな業務を依頼することはできない。
(3)仕事の進め方について,具体的に指示をすることができない。(以下の「偽装問題」を更に参照して下さい)
(4)業務遂行のノウハウや技術が,社内に蓄積されない。
(5)将来の経営幹部候補として人財育成していくことができない。
※4【下請代金支払遅延等防止法】
「下請代金支払遅延等防止法」(したうけだいきんしはらいちえんとうぼうしほう,昭和31年6月1日法律第120号),通称下請法と呼ばれる。
親事業者の下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を規制する法律であり,「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)の一つとして存在している。
親事業者が下請事業者に業務を委託する場合,親事業者が優越的地位にあるため,親事業者の一方的な都合により,下請代金が発注後に減額されたり,支払いが遅延することがある(優越的地位の濫用)として,
取引の公正化を図り,下請事業者の利益を保護するために,「独占禁止法」の特別法として制定された。2003年の改正では,規制対象が役務取引にも拡大されて強化された。
詳しくは,中小企業庁ホームページを参照されたい。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/daikin.htm
主な規定事項は次の通り。
*発注書面の交付義務。委託後,直ちに,給付の内容,下請代金の額,支払期日及び支払方法等の事項を記載した書面を交付する義務。
*下請代金の支払期日を定める義務。下請代金の支払期日について,給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から60日以内で,かつ出来る限り短い期間内に定める義務。
←仕事をした日から最大60日以内なので,「月末締め,翌月25~28日支払」が期限限界なんですね。
*下請代金の支払遅延の禁止。支払代金を,支払期日までに支払わないこと。
*遅延利息の支払義務。支払期日までに支払わなかった場合は,給付を受領した日(役務の提供を受けた日)の60日後から,支払を行った日までの日数に,年率14.6%を乗じた金額を「遅延利息」として支払う義務。
*物の購入強制・役務の利用強制の禁止。自己の指定する物を強制して購入させ,又は役務を強制して利用させること。
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「業務委託契約」については,「業務委託の仕組み」解説ページもご参照下さい。
(N)マイナンバーの対応
マイナンバーは個々人を識別する番号(昔は「国民総背番号(制度)」と言われていました),行政サービスにおいて参照されるコードです。
(内閣官房ホームページで図説されているもの,上図をクリックすると拡大表示します)
今までも行政機関それぞれ(市区役所などでの住民番号,国税局での納税者番号,日本年金機構での基礎年金番号,さらには運転免許証など)で,また行政機関に限らず,銀行口座・健康保険などで様々に個人識別番号が付与されていました。
それらのうち行政組織で管理する情報を一元化するべく(今までは氏名等でヒモ付けされていたのを),統一された番号を用いることで手続き・事務処理の簡素化を図ります,と説明されています。
(N)解説【マイナンバーは税公平負担のツール】
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すでに知られている通り,利用者の利便性や,行政機関に於いて事務の簡素化などのメリットがあるのはもちろん,
マイナンバー導入目的の一番は「課税の公平性」(きちんと課税されていない人を減らす)および社会福祉の公平展開(生活保護の不正受給などを減らす)にあります。
したがって個人事業主の皆さんは,今まで以上に「税金をしっかり納めること=確定申告を正しく行うこと」が求められることになると言えます。
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マイナンバー導入にあたり,「副業がバレる」と夜の接客業(キャバクラなど)を辞める方が急増しているんですって。
どの職業で生計を立てるかは人それぞれですが(キャバレー・クラブも立派な職業です),まさかインストラクター・パーソナルトレーナーの方で,内緒の収入(副業)はありませんよね?
Yahoo知恵袋で「内緒で副業インストラクターしていますが,マイナンバーでバレませんか?」なんて質問も掲載されていましたが,
会社は源泉徴収票およびその合計簿,あるいは支払調書を税務署に提出していますから,バレる時はバレます。バレると,過去数年にわたり遡って,不足する税額とペナルティの加算税をしかも一括で支払うよう請求されます。
個人情報の懸念があるのに,また経理担当者の手間暇が増えるのに,マイナンバーが導入されたのはオマエのセイだよ,と突っ込みたくなりました。
ちなみに,自分が正しい税務申告をしていても,相手先が税務調査の対象になれば,「反面調査」としてこちらも税務調査が入ります。(裏付け調査として関係先が調査される訳です。もちろんそんなことになるような相手先とは取引しない方が良い訳ですが)
日頃から正しく帳簿を付けておきましょう。
(N)-1【個人事業主として取引先より報酬を貰っている(事業所得を得ている)場合】
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「支払調書」にマイナンバーが記載されるため,勤務先に番号などを申告する必要があります。
(内閣官房ホームページでの資料で掲載されているもの,上図をクリックすると拡大表示します)
『支払調書』とは,正確には「報酬,料金,契約金及び賞金の支払調書」と言う書面です。
(業務委託者にも同じものを発行する事業所が多いですが,税務署に提出する支払調書を『支払調書』または(広い意味で)「法定調書」,報酬支払者に手渡すものは「支払通知書」と区別されるのだそうです。)
マイナンバー導入および法改正で,税務署に提出される『支払調書』にはマイナンバーを記載しなければいけないが,報酬支払者に手渡す「支払通知書」にはマイナンバーを記載してはいけないため,事務処理が煩雑になると発行しない事業所が増えるかもしれませんね。
『支払調書』は,「会社=事業所が,税務署に対して提出する書面」で,業務委託契約者に発行するよう義務付けていない書面であるため,貰えない取引先もあります。
また従業員に社員が居ない場合(所得税の源泉徴収をしていない場合,つまり給与支払事業所として登録されていない場合,つまり雇用契約の従業員が居ない場合。またスタッフが居ても業務委託契約などの場合)は「支払調書」自体が作成されていません。
ちなみに「支払調書」は,確定申告に添付することが義務付けられていません。(ただし手元に有るなら資料として添付すると,申告書類の信憑性が高まる為,オススメです。)
つまり,「支払調書」は業務委託契約者の我々が書面として貰わない場合もありますが,マイナンバーは事業所=会社に申告しなければなりません!! 会社から税務署に『支払調書』を提出する際に使用されるからです。
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(平成27年10月2日法改正)個人事業主で従業員を「雇っている」方は注意して下さい!!
給与や報酬を支払った相手のマイナンバーを記載する書類は,税務署提出分だけです!
雇用契約の従業員に渡す「源泉徴収票」にも,業務委託契約の事業主に任意で発行する「支払調書/支払通知書」にも,その人のマイナンバーを記載してはいけません!
※マイナンバーの情報流出(茨城県某市で住民票に誤って記載されてしまい,それが保険や自動車購入の書類として使われたことで番号が流出)した事件もありました。
(国税庁ホームページからの告知で掲載されている資料,上図をクリックすると拡大表示します)
(N)-2【個人事業主として(雇用契約従業員や業務委託契約者を)雇っている場合】
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基本的には次項の「法人として従業員を雇っている場合」を参照して下さい。
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支払者(一番下の段に,誰がその給与・報酬を支払ったのか記載する部分)には,個人事業主であれば自分の番号を記載してはいけません。
法人であれば,逆に記載しなければなりません。(法人に付けられるマイナンバーは公開されます)
(N)-3【法人(株式会社や,旧有限会社など)として従業員を雇っている場合】
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行政機関に提出する様々な書類,
特に税務署・市町村・ハローワーク・健康保険組合・市町村に提出する書類(賃金や税金に関する書類・雇用保険に関する書類・社会保険に関係する書類)にマイナンバーが必要になるため,従業員から集めておかなければなりません。
実際は,「扶養控除申告書」を提出して貰う際に,マイナンバーを記入する欄がありますから,そのタイミングで収集することになりますが,「利用目的の明示」と「本人確認の実施」は必要です。
(「扶養控除申告書」を年末になってから配って集める会社も実際は多いようですが,本来はその年度の最初の給与支払い時までに書いて貰わなければなりません。所得税の計算を甲種にする前提として,「扶養控除申告書」が必要だからです。
さらに入社したばかりなのに年度途中で退職する社員も居ることを考えると,入社時に記入して貰うのが得策です。退職してからでは音信がつかなくなることが多いですから。)
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提出する書類として顕著な例は「源泉徴収票」でしょう。
(内閣官房ホームページでの資料で掲載されているもの,上図をクリックすると拡大表示します)
(N)-4【従業員として働いて給料を貰っている(給与所得を得ている)場合】
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勤務先に番号を申告する必要があります。
*「源泉徴収票(合計簿)」を会社が税務署に申告する際に必要になる
*「扶養控除申告書」を会社が税務署に申告する際に必要になる
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「扶養控除申告書」においては,扶養親族がいる場合は,その「家族それぞれのマイナンバーも会社に伝えなければならない」ことになります。
(内閣官房ホームページでの資料で掲載されているもの,上図をクリックすると拡大表示します)
(N)留意点【事業所=会社にマイナンバーを伝える時に】
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マイナンバー番号を事業所(会社)に伝える必要がありますが,その方法は(多くの場合は),
(1)【『通知カード』または『番号カード』のコピーを提出】するよう求められる,と想定されます。
またその際には,「利用目的の明示」と「本人確認の実施」が必須とされていますから,
(2)【マイナンバーの利用目的が明示される】はずです。明示されなければ明示するよう申し入れる必要があります。
(3)本人確認として,【運転免許証など,顔写真付きの身分証明書の提示】をするよう求められる,と想定されます。
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『通知カード』が10月中旬に送られて来るようです。
(総務省ホームページでの資料で掲載されているもの,上図をクリックすると拡大表示します)
※申請することにより,顔写真付きの『番号カード』を手にすることが出来ます。現状では必ずしも『番号カード』までが必要なのではありません。
運転免許証の他に,パスポートなど顔写真付き証明書があれば良いのですが,顔写真の無い公的証明書(例えば健康保険証・年金手帳など)では,2つ以上が必要であると規定されています。
運転免許証やパスポートを持っていなければ,『番号カード』を申請しても良いかもしれませんね。
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マイナンバーについて,内閣官房ホームページはこちらです。(各種資料が揃っています)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/kouhousiryoshu.html#business
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